2019年9月4日水曜日

メモリアルデー 講演会 2019.8.14 要旨・抜粋・感想


メモリアルデー 講演会 2019.8.14 戦時性暴力問題連絡協議会、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

・「水曜デモ1400回の軌跡」 梁澄子 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表
・若者たちが語る「慰安婦」問題

http://www.restoringhonor1000.info/
act.for.cw@gmail.com



「水曜デモ1400回の軌跡」 梁澄子

慰安婦像は正確には「平和の碑」(2011創建)という。水曜デモは、主催は挺対協だが、個々の実施団体=主幹団体は一回ごとに異なる。水曜デモは、韓国の人権運動や民主主義運動であったと言える。

「表現の不自由展」事件で現れた右派の主張の中で、今までになかった注意すべき表現は、慰安婦像が「ヘイト」だという認識であるが、それは事実誤認である。


19880421キーセン観光がチェジュ島で始まった。
19910814 金学順さんが名乗り出た。
19910918申告電話を開設したが、金さんに続く人はすぐには現れなかった。ところが、12月に金学順さんが実名で東京地裁に提訴すると、大きなニュースになり、他の被害者も名乗り出始めた。金さん以前にも名前を伏せて提訴した人はいたが、実名での提訴は金さんが初めてだった。
『ナヌムの家』という映画ができたころは、少数の元慰安婦しか運動に参加していなかったが、「女性のためのアジア平和国民基金」19950719の撤回を求める運動19960529が、 大規模なデモに発展してからは、戦闘警察=機動隊が日本大使館を守る中を、元慰安婦たちは戦闘警察に立ち向かい果敢に闘うようになった。元慰安婦たちは戦闘警察の車両に乗せられてソウル郊外で降ろされるといういやがらせを受けた。

20060809アムネスティと共闘したとき、黄色がシンボル色になり、運動は平和学習に変わっていった。

20110907米軍の基地村で性搾取された女性たちの団体「ヘッサル社会福祉会」が水曜デモを主幹した。行政が米軍基地に女性を提供したと理解すべきだ。政府に対する彼女達の裁判闘争は2018年に勝利した。

水曜デモは平和人権活動家を育てた。

20111214  1000回記念の日に「平和の碑」=「平和の少女像」の除幕式が行われた。この日は世界10カ国73都市の同時アクションの日だった。その4ヶ月前の20110830、憲法裁判所の決定が出て、「平和の碑」を作ろうということになり、それが少女像だった。

2016、カンナム駅で性暴力事件があり、その被害者が、この少女像に関する感動的な文章を発表した。

像は24時間体制で守られている。


日本でも外務省を人間の鎖で囲んだことがある。

20150408、ベトナムの代表が訪韓した時、ベトナム戦争時に韓国軍に虐殺された被害者遺族が証言した。201704、チェジュ島にベトナムピエタ像を設置した。作者は少女像の作者である。韓国側は、韓国軍によるベトナム人の虐殺を謝罪した。

20180815、戦時性暴力の被害者であるイラクのヤジディ教徒や、コンゴ、ウガンダ、コソボの代表が、水曜デモに参加するために訪韓した。前日の20110814に、アチャン・シルビアがウガンダ から訪韓していた。

「諦めない、黙らない」を運動のモットーとしたい。

以上


・アンケート報告(省略) 東外大生 石田凌太・村田佐希子
・「強制連行はあったのか」(省略) 「希望のたね基金」阿部あやな

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・「日本軍『慰安婦』問題における『謝罪』と『解決』について」 一橋大学生 熊野功英

19970312平林博・外政審議室長の答弁から強制連行を疑い始めた。
20150814 安倍談話から「お詫びと反省」が消え、「次の世代に謝罪の宿命を背負わせてはいけない」とし、20151218日韓合意は、少女像の撤去を求め、謝罪はこれっきり=「最終的かつ不可逆的に解決」とした。

日本政府の問題点

・「軍の関与の下」という表現は曖昧である。
・国際法的責任を認めていない。国内法や国際法に反していたのに、法的に、戦争犯罪を認めない。
・その後の真相究明をしない。資料を全面公開しない。
・賠償を認めない。

それでは、「お詫びと反省」を帳消しにしてしまう。

「アジア女性基金」の問題点

・国の正式な賠償ではない。
・歴史から教訓を学ぼうとする姿勢が不十分である。
・対象が限定的であり、北朝鮮を除外していて、韓国、台湾、フィリピンだけが対象とされている。
・慰安婦運動に分裂や亀裂をもたらし、受け入れる人と受け入れない人とを分断した。なぜ受け取らなかったのかを考慮しない。運動の分断自体が問題だ。

日韓合意2015の問題点

・被害者の意思が反映されなかった。
・事実認定の更新をしない。つまり、後続措置を消してしまい、河野談話を発展継承しない。
・責任が曖昧である。つまり、軍が主体だったことをはっきりと認めない。
・「最終的・不可逆的解決」は、後続措置を消してしまう。(加害者が言う言葉ではない。)
・「政府への提言」*が反映されていない。
・韓国以外の被害者の存在を無視している。
・平和の碑が生まれた歴史を無視している。女性解放運動としてとらえず、慰安婦だけを問題としている。
・経済=日韓協定と人権問題とを混同している。

20140602の「第12回日本軍慰安婦問題アジア連帯会議」の「日本政府への提言」には被害者が関与している。(後述)

事実認定し、お詫びし、後続措置を取るという一連の手続を継続していかなければならない。一時点だけで終わるものではない。

ドイツ大使は、記念式典で、イタリアのチビテッラ村での虐殺に関して、加害国として事実を詳細に認定した。「教会に女性や子どもを何人閉じ込めて火を放った。」「よその村から戻った男性何人を車の前に並ばせて銃殺した。」等々、A4用紙4枚にわたり、ナチスの行為を具体的に述べた。加害国が事実を具体的に認識し、それを表明することが重要だ。

フランスのオラドゥール村での住民虐殺事件についても、ドイツは同様の詳細な事実認定をした。

被害者オラドゥール市長と遺族会会長の言葉「謝罪の言葉よりも『真実を正面から認め、歴史修正主義の動きに毅然と反対していくことの方が大切だ』」

謝罪の言葉や賠償金といった一過的なものよりも、今後二度と同じ過ちは繰り返さない、そうした過ちを生む構造を解体していく姿勢という、「最終的」でもなく「不可逆的」でもない、不断の行動こそが謝罪といえる。

過ちを生む構造が、日本の謝罪の本質である。

被害当事者に受け入れられる解決策でなければ本当の解決策とは言えない。

慰安婦問題は、外交問題だけではなく、人権侵害、民族差別、女性差別、平和問題でもある。

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20140602の「第12回日本軍『慰安婦』問題アジア連帯会議」の「日本政府への提言」抜粋

日本軍「慰安婦」問題解決のために日本政府は

1.次のような事実とその責任を認めること
①日本政府及び軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと
②女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況のもとにおかれたこと
③日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれ異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ
④当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと

2.次のような被害回復措置をとること
① 翻すことのできない明確で公式な方法で謝罪すること
② 謝罪の証として被害者に賠償すること
③ 真相究明:日本政府保有資料の全面公開
国内外でのさらなる資料調査
国内外の被害者および関係者へのヒヤリング
④ 再発防止措置:義務教育課程の教科書への記述を含む学校教育・社会教育の実施
追悼事業の実施
誤った歴史認識に基づく公人の発言の禁止、および同様の発言への明確で公式な反駁等

201462
12回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議

以上


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