石川達三「生きてゐる兵隊」1938.3『中央公論』
感想 2026年2月23日(月)
本作品は発禁処分になったとのこと。どの点がひっかかったのか、思い当たる所がありません。おそらく著者ご本人もそう思われたことでしょう。著者はその後、家庭内の愛情をテーマとする分野に転身したとのこと。
Wikiによれば、これは新聞紙法41条(安寧秩序紊乱、風俗壊乱)違反だとして、即日発禁処分となって起訴され、禁錮4か月、執行猶予3年の有罪判決。ビビった石川はその後は恋愛や結婚など家庭内部の問題に転向したとある。
軽々しく軍隊のことについて口を出すな、ということなのでしょうか。分かりません。南京での大規模な婦女暴行や、捕虜の大量虐殺などについては全く触れていないのに。
著者が言いたかったことは、思うに、戦争は死と背中合わせであるということ、狂気と背中合わせであるということ、戦闘を生き残り、生きているように見える兵隊は、実は生きていない、その生は死と隣り合わせであるということ、そういう不条理な気持ちを表現したかったのではないかと思います。
石川達三33歳の時の作品。1937年12月下旬、中央公論社特派員として中支方面へ出発。翌年1月まで南京に滞在。
メモ、漢字、固有名詞等
主人公たちは中国の太沾(タークー)で上陸し、子牙河(ズヤホー)を南下しながら戦闘を行い、寧晋に集結した。寧晋から北京の南西方向にある石家荘まで行軍し、そこから鉄道で北京・天津を通過し、大連から船で上海に向かい、南京攻略戦争に従軍した。
一
高島本部隊
太沾(タークー)に上陸。
子牙河(ズヤホー)を南下。
寧晋に集結。
333 石家荘まで行軍。
333 野田一等兵
四
347 坊主出身の兵隊、片山玄澄従軍僧は、日本人になら念仏を唱えるが、中国人にならその気にはならない。ここで石川達三は戦争が宗教の国際性を否定するという危険性を内包していることを指摘する。
ところが、Wikiによれば、これは新聞紙法41条(安寧秩序紊乱、風俗壊乱)違反だとして、即日発禁処分となって起訴され、禁錮4か月、執行猶予3年の有罪判決。ビビった石川はその後は恋愛や結婚など家庭内部の問題に転向したとある。
五 「無錫」は上海・南京の中間に位置し、京滬鉄道が通っている。
352 京滬(けいこ、チンホ)鉄道 北京・上海間の鉄道。
本作品の主人公
倉田少尉 日記をつけている。小学校の先生。
平尾一等兵 母親を殺されて泣き続けるクーニャン姑娘を殺した。
近藤一等兵 ピストルを持っていた女スパイとされた女を殺した。医者。
笠原伍長 日本軍人が宿として使おうと思っていた自宅に放火した支那人を殺した。
蹲(うずくまる)
踞(うずくまる)
燻(くすぶる)る
365 主人公たちは、西澤大佐連隊長346部隊(歩兵第三大隊353)長335の下で、戦死した北島中隊長349の跡を継いだ古家中隊350に属しているようだ。
六
356 11月25日、26日
西澤連隊長大佐
無錫→横林鎮358→常州
「大行李」とは輜重隊のことらしい
武井上等兵
357 支塘鎮
中橋通訳
近藤一等兵
358 跣足(はだし)、肱(ひじ)
359 白茆(ぼう)江(上陸地点)
11月30日
毟る、毮る(むしる)
七
360 山茶花(さざんか)、立ち罩(こ)める
361 12月1日、奔牛站(たん)→12月2日、呂城→12月3日、4日、丹陽
362 笠原正三
第三大隊加奈目少尉
赫(かく)と
句容
高島師団
364 胯(また)
八
12月8日、湯山
湯水鎮
365 甕(かめ)
武井上等兵
倉田少尉
12月9日、麒麟門
366 秣陵関(モリングアン)→牛首山
索墅鎮(そうすうちん)→浮化
烏龍(うろん)山、幕府山、
高島師団
12月9日
唐生智
12月10日
高島師団長→西澤連隊→古家中隊
屹(きつ、そばだつ)、屹(きつ)となって
草間
368 12月10日、中山陵を占領
小林部隊
「南京城内で支那兵が略奪した」とあるが本当か。
12月11日
12月12日
369 古家中隊
古家が負傷し、倉田少尉が代行する。
370 武井上等兵が戦死
「一夫関に当たって闘う」
中国の故事「一夫当関、万夫莫開」関所を守る勇士が一人いれば、万人の敵が押し寄せても突破できない。地勢が極めて険しく、防衛に有利なこと。
371 12月13日
碼頭
唐生智
12月14日
12月15日、16日
12月17日
九
371 聲(こえ)
374 覘(うかがう)
感想 2026年2月23日(月)
「慰安所」や「クーニャン、クーニャン」の言及はあるが、強姦の場面は出てこない。指輪をせしめて来たなど、それをほのめかす表現はあるが。知らなかったはずはあるまい。
十
張青年
大阪で大震災の流言 「河内大和地震」は1年前の1936年2月21日に発生している。
中央軍官学校
377 1月4日、1月5日、鎮江着
1月8日、上海着、虹口
378 「青幇紅幇」 紅幇(ほんぱん)は、中国の秘密結社。同時期に存在した青幇と対のようにいわれる民間発祥の秘密結社である。
広義の紅幇は哥老会と天地会の2つの幇会の総称となっている。
乍浦路
甦生(ソセイ)
近藤はもと医学士
1月12日、上海から南京へ
380 凋びる、しぼむ
381 笠原
一一
382 衞(衛)門(えいもん)=営門、兵営の門
383 立ち罩(こ)める
384 焦々(いらいら)していた
恰度(ちょうど)
焦(いら)だたしい
一二
以上
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